由貴くんはキョロキョロと辺りを見回す。
あたしを探してくれてる……?
由貴くんと違ってちびなあたしは人波にきっと埋もれてる。
声かけなきゃわからないよね……。
でも、ちょっとだけ…見つけてほしい……なんて。
由貴くん、由貴くん。
あたしね、ここにいるよ??
じっと立ち止まって由貴くんを見つめた。
由貴くんは相変わらずキョロキョロしてる。
わからないよねぇ……。
思わずうつむいて足元を見た。………その時
「………見つけた。にこちゃん」
「…………っ」
その声に弾かれたように顔を上げた。
あたしを覗き込む優しい目に、じんわり泣けてきた。
あたしは由貴くんの服の裾をぎゅっと掴んだ。
「見つけてくれてありがと……。」
「……??……どういたしまして」
狙ってもないのに、あたしの望みを叶えてくれる……優しい君が好きです。


