一年も付き合ってきたのに……あたしは由貴くんから弁護士になりたいと聞いたこともなかった。



確かに由貴くんは口数は少ないけど……さすがにそれは不思議だった。



それに……何だか由貴くんの元気のない表情が気になった。






「………俺、なりたくないんだ。……弁護士。」



「………!」



由貴くんは、どこか辛そうな顔で…俯いたまま、つぶやいた。






「本当は、医者になりたい。…………だから、高校を卒業して…1年、付属の大学に通って………資格が出来たら…………」



そう言うとあたしをゆっくりと見つめて……………


















「……………ドイツに行く。」

















あたしは…………なんの返事も……出来なかった。