それから……二人でいつものように俺の家に帰って、にこちゃんが言った。




「由貴くん……助けてくれてありがとう……!!」



「…………ん…。」



満面の可愛い笑顔でそんなことを言われて………照れくさい。




だけど………次の瞬間、言いにくそうに俯いて………



「………あたし、由貴くんが先生を抱き締めたって聞かされて……すっごくヤダった。信じてるのに……騙されそうになった自分が恥ずかしいよ………。」



にこちゃんはしゅんと落ち込んだ。



変な罠をお互いかけられた事実に……あの野郎もうちょい殴ればよかった……と少し思った………。



「………全部嘘だし、大丈夫。」



でも気を取り直して、にこちゃんの頭を撫でながらそう言った。
にこちゃんは潤んだ瞳で俺を窺うように見上げると



「…………うんっ!!よかったぁー…!」



ただそれだけなのに……言ってやれば、にこちゃんはまたほっとしたように笑ってくれた。



それだけ………彼女が俺を信じてくれているのを感じて、嬉しかった。









正直に言えば……



にこちゃんが俺の前でだけ涙を見せてくれたことも…………








凛子さんには、言えないけど。