【side由貴】
「…………。」
にこちゃんからの…用事が出来たので先に帰ってほしいというメールに思わず眉をしかめた。
正直、今のタイミングはキツかった。
俺のポケットに入っている……青い小さなボタン………。
聖女の教育実習生が意味深に言った……にこちゃんの胸ポケットから出てきたもの………。
ついた見当は………こっちの教育実習生の一条先生。
昨日と同じシャツを着ていた一条先生は……生徒にやたらからかわれていた。
取れていた………青い第2ボタン………。
俺の持っているそれと同じもの。
どうして……にこちゃんが持ってるんだ……?
彼女との接点がわからない。
でも……そう思った時に浮かぶのは………あの聖女の教育実習生のセリフ………。
昨日のにこちゃんの態度もどこかおかしかった気がする。
嫌なものがぐるぐると頭の中を回ってるような気分だ………。
はぁ……と、ため息をついた…その時だった。
「…………橘くん。何か俺に、話し……ない?」


