「………にこ…っ!話しが……っ」
やっと終始ぼんやりで聞いてた授業が終わって、弾かれたように凛子があたしの前にやって来た。
「凛子……?」
「あのね……!?よく聞いて……」
凛子の顔はどこか焦ってて、なんだかすごく珍しかった。
「………凛子ーー!!鮎川(アユカワ)先生が呼んでるって~~っ!」
「~~~っ!!……何なのよっ!?もう……!!」
ことごとく入る邪魔に……凛子は本気でイラついた様子で、バンッ!と、机に強く両手をつくと
「いい…!帰るんじゃないわよっ!?」
「………はひ…っ!!」
その睨み付けるような凛子の目と迫力におののいてあたしはピーンと硬直して反射的に返事を返した。
これは……逆らうと命に関わる………。
今日はしっかりと充電されたケータイを取り出すと、由貴くんに用事が出来てしまったので先に帰っていいから…とメールを送った。
由貴くん…そう表示された画面にまで胸がチクチク痛んだ。
パタンとケータイを閉じて、頬杖をついたまま窓の外を見た。
凛子は……何を聞いたんだろ……?
話し方からなんだか怖い………。
だから…愛音が心配で堪らなかった。
そんなに傷ついていて…なのに、優しい愛音は……あたしに何を教えてくれようとしてるのかな………?
「………やっぱり、一条先生のこと………?」