「………あれ……?由貴くん……ネクタイどうしたの??」



ちょっとした違和感にふと気がつくと…由貴くんの制服にはいつものネクタイがなくて……あたしは不思議でそう聞いてしまった。



由貴くんはちょっとバツの悪そうな顔をして………



「………ちょっと汚して……とった。」



「………そうなんだ……。」



由貴くんが制服汚しちゃうなんて珍しいな……そう思った。そしてその時ふと気がついた………。



「………!」



くっついた由貴くんから………ほんのりと香る……知った匂い…………。



「………??にこちゃん……?」



「………!あ…っ!何でも……ないの……。」



思わず顔をそらしてしまった。



「………??」



なんで………由貴くんから…………



楡崎先生の、香りがするの……………?



呆然としたあたしに由貴くんが近づいて……



「………にこちゃん、糸出てる………。」



そう言って、ス…と胸ポケットから糸を取ってくれた。



「……あ…っ、ありがとう…!」



「………ん…。」



あたしは…楡崎先生の香りが頭から離れなくて……気付かなかった………。



由貴くんの手に握られた………



糸の先についていた……………



小さなブルーのボタンの存在に………………………。







「………帰ろ……。」


「…………うん。」




胸の中に渦巻く……嫌な予感………。