「……にこちゃん」


ほんとに微かな由貴くんの笑顔。


キツイ目元が少し緩んで、口角が微かに上がる。


「待っててくれたんだ…!」


あたしは嬉しくて思わず満面の笑顔になる。


由貴くんはうん…と頷くと、やっぱり困ったように眉を寄せた。



「みんな見てて、焦った。……怪しいのかなって……。」


ほんとに困った顔でそんなことを言うもんだからちょっと、可笑しい。


気付かないんだ。


「みんな由貴くんがかっこいいから見てるんだよ!」


あたしが言うと、由貴くんはキョトンとして…ちょっと驚いた顔をした。



「………俺が…??」


「うんっ!友達みんな由貴くんは有名人だって言ってた」



その言葉に由貴くんは戸惑ってるみたいに目をぱちぱちさせてた。


男の子なのに…睫毛長いなぁー…なんて、あたしは妙なとこに感心して由貴くんの綺麗に整った顔を見てた。