平日で通常どうりに授業がある咲榮学院の中はまだ授業の真っ最中な時間だけあって、シン…と静かで、生徒に出くわすこともなくてあたしは胸をほっと撫で下ろした。



由貴くんもこの中でがんばってるのかなぁ~…?そんな暢気なことまで考えられるくらいにあたしは少しリラックスしてた。



その時…………



――――♪♪♪♪~~~♪



「………!?」



いきなり楡崎先生のケータイがかかってあたしはビクリ!と肩を震わせた。



「………はい…。…………そうなの……。まさにいいタイミングね……?」



先生は手早くケータイを手に取ると、話し出して……そしてあっという間に電話を切った。



そして…あたしに振り返って……



「ごめんなさい……!ほんの少し…向こうに戻らないと行けなくなったの……。悪いんだけど、資料だけ先に渡しておいて欲しいのよ。」



「ひ…、一人でですかっ!?」



さすがに驚いてつい大きな声を出してしまった。



先生はにっこり笑って



「………あの、第二資料室ってプレートが下がった教室に…私の知り合い、一条湊(イチジョウミナト)先生がいるから………。………お願いね……?」



「………!?」



有無を言わさぬ態度で……すぐに迎えに来るからと言って、楡崎先生はあっという間に行ってしまった……。



あたしは呆然とその後ろ姿を見送った……………。