「………由貴くんっ!」



「………にこちゃん。」



今日も校門の前で待っていてくれる由貴くんに駆けよって、あたしは満面の笑顔を見せる。



由貴くんはいつもどうり、フ…と微かに笑ってあたしを見てくれる。



二人で見つめあって……ちょっと笑って、あたしの幸せな時間…………。



さぁ、行こうと…二人で手を繋いで歩きだそうとした……その時―――…




「………百瀬さん!」



「………!……楡崎先生……?」



急にかけられた声に振り返れば……そこには笑顔の楡崎先生が立っていた。



「今……帰りなのね?………あら…、彼氏?」



楡崎先生はチラ…と由貴くんに視線を移して何だか色っぽく微笑む……。



「…………。」



由貴くんはただいつもどうり、表情ひとつ変えずに…ぺこりと軽く頭を下げた。



「………素敵な彼氏ね……。気をつけて帰りなさいね……?」



「………?……はい。先生、さようなら…。」



何だか意味深なものを先生の笑顔に感じながら……



あたしは軽く会釈をして由貴くんと二人で学校を後にした。



先生の大人っぽい香水の香りが……風に乗ってフワリと香った…………。










「………可愛いわねぇ……?高校生って………。」