そ〜っと扉を開けると、中から話し声が聞こえる。
何やら白いシルエットと、うちの生徒らしき人が見える。
よーく目をこらして見る。
ん?あれは、青っちこと、青山先生じゃないか!!
青っちと、もう一人は…舜!?
何の話ししてんだろう??
アタシは、二人の話し声が聞こえるようにもう少し扉を開けた。
…―――――――――――――
「舜、姫菜は、まだ思い出さないのか?」
「あぁ。てか、当たり前だろ。思い出すわけがねぇ」
青っちが白衣のポケットに手を突っ込みながら言うと、すかさず舜は青っちを睨むように言った。
『えっ…』
青っち、今アタシのこと姫菜って呼んだ…?
「…そっか…」
「あんな事があったっていうのに姫をこの学園に入れた菜々さんの考えが理解出来ない。」
菜々って…アタシのお母さん。
舜はアタシのお母さんを知ってるの?
てか、あんな事って何?
脳がアタシに危険信号を送っている。
だけど、体が固まって動かないの。体だけじゃない。
思考の神経も。全部が一時停止して、フリーズしてる。
「親父が姉さんに許して欲しいって申し出たみたいだよ」
「許して欲しい…ね。ふざけんな。青っちには悪いけど、俺はあの人を許せることは出来ねぇ。」
「…まぁ、そう言うなよ」
…―バタン
アタシはそこで扉を閉めた。
頭ん中がグルグル回ってて気持ち悪い。
だんだん呼吸も荒くなってくる。
額からはも凄い汗、立ってるのもやっとなくらい。
どうしたらいいか分からない。
アタシの知らないアタシがいる…?
自分が分からない。
