結局。
「んもぅ砂原ちゃんは仕方無いなあ。 フツーに読んでよし!」
「あれ?別に何てことはないのに許されてる俺って、理不尽じゃね?」
「気にするーと、負ーけ負ーけ」
「いや気にするし!」
「つべこべ言わんと早くよめー。 可及的速やかに」
「せ、急かされてる…!」
その後も若干の無茶ぶりを(餌食は砂原)しながら進めるヒンは、かなりの腕前で。
「――さて、以上っかなー。
とりあえず来月の体験学習はプリントにあるとおり。
各自保護者の印鑑もらって書類提出ね。今週中に」
授業開始から二十分足らずで終了。実に手際がよい。
手際がよいのはいいことだが。
「……暇になっちゃったねー皆さん。 鬼ごっこする?」
『なんで!?』
普通はやらないだろう。そしてここは金持ち校。通っている生徒はいわゆる上流階級の子供たちばかりだ。
やるわけが無い。
「んー、缶けりのが良かった?
れっつトライ!キック・ザ・カン・クルー!」
「ストップ!ストップ、ヒンちゃん!」
「ヒンちゃんやりだしたら皆なんでかやっちゃうから!」
「盛り上がるなヒンー!」
クラスメート、必死(笑)
彼女がたのしそうに始めてしまったら、やらずにはいられなくなってしまうのだ。
彼女には人を動かす何かがある。
とにもかくにも。
六組の皆の心は一つ。
『(ヒンがウチのクラスで良かったー…)』
愛されてます。