【二年六組】


『ヒンちゃーん。次の選択どこ〜?』

「選択Aは大講義室、Bは情報教室ッスねー」

『ヒンさん、ロッカーの上にあった模造紙知らない?』

「それならさっき没収されてましたよ〜」

『うげっ』


あちこちから声をかけられる一人の女生徒。

細身の身体に黒いカーディガン。黒のハイソックスに黒ぶちメガネ。真っ黒で中途半端な長さの髪。


決して暗くはない、むしろ明るい雰囲気だが、彼女を表すとしたら『黒』だろう。


『ヒンっていっつも黒いモノしか身に付けないよね〜』

そして『ヒン』と言うあだ名。


彼女はこの学園で一番普通で、一番異質な人物だった。