―――――とある王国のお話です。


この国は絵に書いたような平和で豊かな国でした。
平和で豊かといっても、国民がのんびりぼんやりただ暮らしている訳ではありません。

この国の豊かさは、機械と魔法を組み合わせた魔法工学に強い国民性と、そんな先進的な流れでも聖霊や魂の尊さを忘れない事に由来するものでした。つまり、向かうところ敵無しみたいな。


そしてそんなこの国を治める王族一家は、少し個性的な人たちばかりなのでした。


まずは王様。この国のトップです。
この王様が即位してから、それまでの発展の伸び悩みが嘘の様に成長しました。国内総生産もグンと上がりました。

先王が興味を示さなかった魔法工学に目をつけたのが、この王様だったのです。国からの援助をうけて技術者は遺憾無く力を発揮することが出来るようになったのです。


そんな敏腕の王様は、見た目も若々しく、格好よかったので、女性に人気がありました。
しかし王様は亡くなった妃一筋と公言していましたし、何より『俺についてこい!』な人情味溢れて頼りになる人間性が男性にも支持されていました。


そんな王様には、愛する子供たちがいました。