こうして、ポクン・ポーラーの女主人のもくろみ通り、ジパドはその本拠地と主要構成員を失って弱体化し、天然の黒鳳天草花の群生地は潰れた。

 カムランは女主人から報酬の十万平均通貨《ジード》を受け取り、しばらくは不自由なく過ごせると胸を撫で下ろした。

 そして、紅はというと……

「くそぉっ!群生地のことすっかり忘れてたぁ!」

 紅はわめきながら元黒鳳天《ジパード》の滝のあった断崖の岩を掘り起こし、焼け残った黒鳳天草花がないか探していた。

 さすがに聖地だけあり、滝本来の強力な水気《すいき》の加護で滝の岩肌はかろうじて原形を止めていた。

 しかし、あくまでかろうじてであり、高温に晒された表面は炭化した黒鳳天草花が張り付いているだけだった。

「根でもいい。生き残ってればなんとか格好がつく。あいつに失敗したと知れたら、わたしの信用が……くそぉっ!」

 煤まみれ、泥まみれになりながら、紅は探し続けた。

 いつまでも……

              END