「よくも、よくもわたしの血を!」

 陰に籠った強烈な感情が彼女の全身を包み込む。

 鮮やかな赤い髪の一本一本がわらわらと立ち上がる。

 まるで真っ赤に燃える炎のように紅の髪は逆立った。

「怯むな、この隙に一気に片を付けろ。法術僧は紅炎舞呪を詠唱!印を結べ。異教徒を焼き尽くせ、突撃せよ。開祖の意は我らジパドにありっ!」

 ラムヤが大音声で指示を飛ばした。

 ジパドの法術僧たちが紅炎舞呪の詠唱を開始、印を結ぶと同時に、紅の周囲に火気が集中、高温で発火した。

 一瞬でタモの結界と操り人形と化した僧兵三人が灰になる。

 ジパドの僧兵は水気《すいき》の加護を受けているのか影響を受けない。

 ごうと空気を震わせ、紅を中心として炎の竜巻が天高く伸び上がった。

「一切衆生を浄化する神炎だ。いくら薬法師といえど、これには一たまりもあるまい」

 ラムヤは満足気に呟き、それに気付いた。