ただ風のように



「先輩の家族、仲良いんですね」


部屋に戻ってすぐ私は海頼先輩にそう言った。


「うるさいだけだよ」


「でも同じ場所に集まってあんなふうに笑いあえるなんて、仲が良くなかったらできないですよ」


「まぁ、そうかもね」


「すごく……」


羨ましいです。そう言おうとしたとき、海頼先輩が私の口に指を当てた。


「疲れてるんだから早く寝た方がいいよ。もうすぐ11時になるから」


「……はい」


「ベッド使っていいから」


先輩はそう言って、私の手を引いてベッドまで連れていった。


「本当に良いんですか?」


「いいよ。俺と同じ部屋が嫌って言うなら俺は兄貴の部屋に行くから」


「そうじゃなくて。迷惑かけた上にベッドまで借りて、申し訳なくて……」


「今はそんなこと思わなくていいから。早く寝な」


先輩は私を無理にベッドに寝かしつけてそう言った。