ただ風のように



「夏々海ちゃん」


私は名前を呼ばれて振り返った。そこには遊汰先輩が立っていた。


「あ、お疲れ様です!!」


私は勢いよく頭を下げた。


「お疲れさま。涼太朗相手にあそこまでやるとは思わなかったよ。ホントにすごいね」


「ありがとうございます!!褒めて頂いて光栄です」


「アハハ。礼儀正しいんだね。そういえばゲームの前、海頼と何してたの?」


遊汰先輩は笑顔を崩さないで優しく聞いた。


「えっと……」


私は中学のときのことだけは伏せて、そのほかすべてのことを話した。


「そうなんだ。海頼がねぇ。海頼も変わったんだなぁ」


「え?変わったってどういう意味ですか?」


「男子ぃー!!ここに集合!!」


そのときタイミング良くブザーが鳴り、コーチが大声で言った。


「もう時間か。続きはあとで」


そう言い残して遊汰先輩はコーチのもとへ走っていってしまった。


変わったってどういうことだろ?それに海頼先輩、ちゃんとしたバスケは高校からって言ってた。


何か関係あるのかな?