ただ風のように



「ナイスパス!!」


志穂先輩の声が聞こえたときには亜美先輩がシュートをしていた。


シュパッ


「ナイッシュ!!亜美」


亜美先輩が放ったボールは綺麗な放物線を描いてゴールに吸い込まれた。


「っしゃあ!!」


亜美先輩はガッツポーズを決め、ディフェンスに戻った。


その間に、遊汰先輩が走ってきてボールを持ちエンドラインまで下がった。


「涼太朗、切り替えて。一本取るよ。ここが大事だからね」


遊汰先輩はそう言って涼太朗先輩にボールを出した。涼太朗先輩はそれをキャッチしてドリブルしながらセンターラインまで運び、遊汰先輩に戻した。


「マーク確認OK!!」


私はそう言って涼太朗先輩と遊汰先輩を警戒した。


「こっちもいいよ!!」


志穂先輩が遊汰先輩の前で腰を落としながら言った。