ただ風のように



「あの、亜美先輩?」


「どうしたの?」


「罰ゲームって何ですか?」


「あ、そっか。夏々海は知らないのか。ゲームが終われば分かるよ。とにかくキツいことは確かだから、今は勝つことだけを考えて」


亜美先輩の真剣な眼差しに私はそれ以上、何も聞かずに言われた通り、勝つことだけを考えた。


「両チーム、準備はいいね?スタメンは整列!!」


コーチの声に両チームのスタメンがセンターラインをはさんで整列した。


「夏々海は涼太朗について」


志穂先輩が耳元で囁いた。私は静かに頷き、男子チームを見た。


遊汰先輩、海頼先輩、涼太朗先輩が入っていて他の二人も力がありそうに見える。


「ジャンプボールで始めるよ。代表者は前に」


「夏々海、出て」


亜美先輩に背中押されながら言われた。男子からは遊汰先輩が出てきた。


「じゃあ、始めます」


コーチの吹いた、笛の音と共にボールが宙に浮いた。私はできるだけ素早く、バネを溜め思いっきり高く跳んだ。