ただ風のように



「夏々海ちゃん、おいで」


「はい!!」


私は志穂先輩に呼ばれて急いで女子チームに向かった。


「夏々海ちゃん、さっき涼太朗とやって勝ってたよね?スタメンで出てみる?」


「え?いいんですか!?」


志穂先輩が発した思いがけない言葉に私は当然のように驚いた。


「いいも何も実力順で選びたいし、涼太朗に勝てる人って貴重だからね。それに夏々海ちゃんが出てくれたら心強いしさ」


志穂先輩が優しくそう言ってくれた。


「でも、私でいいんですか?」


「いいのよ。力があれば勝つため、楽しむために使わなきゃもったいないでしょ」


そう言ったのは同じ学校の亜美(アミ)先輩だった。


「はい!!精一杯、やってきます」


それでよし、と亜美先輩が私の頭を撫でてくれた。


「残りは私と亜美と知沙都(チサト)と友美(トモミ)でいきます。監督は南海(ミナミ)に任せます。交代は南海の指示に従って下さい。ディフェンスはハーフのマンツーマンでいきます。残り5分からはオールコートで。罰ゲームは絶対に回避しましょう!!」


「はい!!」


志穂先輩の言葉に全員が返事をした。