「み、海頼先輩!!」
私を引っ張った人の正体は海頼先輩だった。
「……」
海頼先輩は黙ったまま地面に座った。沈黙に耐えきれなくて私は声を発した。
「海頼先輩?あの、何ですか?」
「涼太朗が珍しく落ち込んだから、空気読んでみたんだ」
「落ち込んでるって?」
「んーと、俺と涼太朗は去年からインハイ出てんのね?涼太朗の目ってすごくて、コートの中全部のプレイヤーの動きを把握できんの。だからあの身長でポイントガードやってんだけど。去年、インハイで決勝まで行ったけど涼太朗の目で見えなかったプレーはなかったのね。だから君の動きを把握できなくて落ち込んでんの」
海頼先輩は顔だけ私の方に向けて一気に分かりやすく説明してくれた。
「なんか私、悪いことした気がします」
「別に罪悪感感じなくてもいいと思うよ。君は君のプレーをしただけなんだから。座れば?」
海頼先輩は立ち尽くしてる私を見て、優しくそう言った。

