ただ風のように



シュパッ!!


ボールがゴールネットを通る心地よい音がした。


「やったー!!入った!!」


私は男子相手にシュートを入れたことが嬉しくて跳び跳ねて喜んだ。


「涼太朗は罰ゲーム倍ね。夏々海ちゃん、すごい綺麗な動きだったよ。それに速かった」


「ありがとうございます!!」


私は勢いよく遊汰先輩に頭を下げた。遊汰先輩に褒められたのがすごく嬉しかった。


「本当に凄かったよ。ね、涼太朗?」


遊汰先輩は涼太朗先輩に声をかけたけど遊汰先輩は立ち尽くしたままだった。


「涼太朗?どした?」


「一瞬、何されたか分からなかった。インハイでもこんなこと無かったのに」


涼太朗先輩は呟くように言った。


「うん、そうだね。涼太朗の目で確認できなかったのは四人目だよね?」


「……はい」


放心状態の涼太朗先輩を見て私はなんだか申し訳なくなった。


「あの、私……えっ?」


謝ろうとしたら誰かに思いっきり引っ張られ、外に連れていかれた。