「ですよね。こんなに簡単にボールとられるなんで主将か海頼以外ではじめてです」
涼太朗先輩は信じられないといった目で私を見ている。
「そんなあっさりボールを取られた涼太朗には練習終わったら罰ゲームを受けてもらいます。ちなみに守りで負けたら二倍だからね」
遊汰先輩はそう言って私に女子用のボールを渡すともう一組の方に走っていった。
「よし、次やろうか。夏々海ちゃんがオフェンスね」
「じゃあ、行きます!!」
涼太朗先輩は身構え、私は気持ちをボールに集中させた。ボールから伝わってくるのは現在地からのシュート場所までの移動の仕方。
ボールの動きに従い、動くことでシュートは入る。私は目だけでフェイクを入れ、制限区域まで一気に進んだ。
しかし、涼太朗先輩に追い付かれた。先輩は手を大きく上に広げ、シュートさせまいとしている。
私はボールを持とうとしたがやめて、涼太朗先輩の脇の下をくぐってシュートした。
