ただ風のように



「よく分かんない」


「ん?どういうことだ?」


「海頼先輩がっていうより、好きっていうこと自体よく分からない」


私は本当の気持ちを翔くんに伝えた。


「そうか。じゃあ、分かるといいな。すぐじゃなくてもいつかさ」


「うん。翔くん、ありがと」


「兄貴として当然のことだよ。なんかあったらいつでも相談しろよ」


「分かった。じゃあ、部屋戻るね」


「あぁ」


私は部屋に戻って携帯にメールが入っていることに気付いた。


「誰からだろ?あ、麻衣からだ」


麻衣は高校に入ってすぐにできたすごく気の合う友達で麻衣だけには家族のことも腕の傷のことも中学のときのことも海頼先輩のこともすべて話していた。メールが来てからあまり時間が経っていなかったので私は電話で用件を聞くことにした。


『もしもし、ナナ?』


麻衣は私のことをナナと呼んでいる。


「麻衣、どうしたの?」


『ナナ、明日ひま?』


「特に予定はないけど」


『じゃあ、遊ぼう。買い物とかしてさぁ』


「うん。買い物したい」


『やった。じゃあ、決定。10時に駅前で』


「分かった。じゃあ、また明日」


『うん、明日ね』