ただ風のように



ご飯を食べ終えて私は部屋に戻り、携帯とにらめっこしていた。


「もう電話しても大丈夫かな。大丈夫だよね。よし、かけちゃえ」


私はそう言って携帯のボタンを押した。


『もしもし?』


先輩は1コール目と2コール目の間で電話に出た。


「もしもし、夏々海です。今、大丈夫ですか?」


『うん、大丈夫。どうした?』


耳元で聞こえる海頼先輩の優しい声に私は少し安心した。


「あ、えっと、明後日の日曜日、何か予定ありますか?」


「何もないよ。俺、基本的に暇人だから」


先輩は半分笑いながら答えた。


「あの、兄が日曜日に先輩も誘って4人でバスケしようって『行っていいの?』


先輩は私が言い終える前に私に聞いた。


「先輩が来てくれたら私は嬉しいです」


『じゃあ、行く。何時にどこ?』


「本当ですか?10時に川沿いの公園です」


『分かった。絶対行くね』


「楽しみにしてます」


『……電話かかってきたから実は少し心配だった』


先輩は少し間をおいてそう言った。


「心配してくれてありがとうございます」


『でも、元気だったから安心した。いつでもさ電話してきていいから。用事なくても話したいなって思ったらメールでも電話でもしてきて』


「はい、ありがとうございます」


『それじゃ、日曜日楽しみにしてる』


その言葉で私たちは電話を切った。