「つらい、です。私は……生まれないほうが、良かったんじゃないか、ってよく、思うんです」
口にしたら本当にそうなんじゃないかって気がして、今まで思わないようにしていた気持ちが先輩の「言いたいことは言え」という言葉で一気に溢れてきた。
「夏々海が生まれないほうがよかった?そんな訳ないだろ。夏々海、よく聞け。俺は今までこんな短時間で俺の本音を俺の過去を話せた奴はほかにはいない。言ってること分かるか?俺は夏々海がいなかったら、まだ誰にも本当の俺を見せれていなかったかもしれないんだ。俺は夏々海が生きててくれてよかったってそう思ってる。だから、そんなこと思わなくていいんだ」
先輩は私の目をしっかり見て強く優しく言ってくれた。
「は……い。私、先輩にはいつも助けられてばかりですね」
「うん。俺さ夏々海に出会ってから性格がよくなった、って家族によく言われるんだ。夏々海に俺は助けられてんだ。だから、自分に自信持ってもいいと思うよ」
「先輩、ありがとうございます」
「もう大丈夫?」
「はい、先輩のおかげです」
「そろそろ中に入ったほうがいい。いつでも連絡していいし、いつでも呼びつけていいから。本当につらいときは兄貴たちいるけど家に来ればいい。だから、1人では絶対に抱え込むなよ」
「分かりました。今日はいろいろありがとうございました」
私は、先輩に頭を下げて家の中に入った。

