ただ風のように



「それでどうなったんですか?」


私は体を先輩の方に向けて質問した。


「いろいろあったけど遊汰先輩に家に帰って、親にどこで何してたか話した方がいいって説得されて父さんと母さんと話したんだ。俺がやってたこと、思ってたこと全部言ったよ。それから今の関係がつくれたんだ」


「……先輩は強いですね。私も母としっかり話して良い関係をつくりたいです」


私は先輩の目を見て言った。自分の手が震えているのが分かった。


「夏々海自身がそう強く思ってるんなら、つくれるよ。大丈夫」


先輩は震えている私の手を握ってもう一度「大丈夫だよ」と言ってくれた。