ただ風のように



「先輩はその話を聞いて、どうしたんですか?」


「ショックだったよ。13年間育ててくれた両親が自分の親じゃないってことも、兄妹と違う血が流れてるってことも。それでさ、どうしていいか分かんなくなって悪い人達とつるむようになった。酒もタバコもバイクも全部、現実から逃げるためにやってた」


先輩はため息をついて哀しい顔で笑った。私は何も言えず黙っていた。


「そのときに出逢ったのがストリートの賭けバスケ。雅サンっていう人に声かけられて、雅サンからバスケとかいろんなこと教わったんだ。あの頃はとにかく家にいたくなくて、暇さえあればバイクかバスケだったんだよなぁ。毎日バスケやってるから上達もはやくてさ、そこのストリートで俺はトッププレイヤーになったんだよね」