ただ風のように



「大丈夫?」


先輩に肩を抱かれたまま私は10分程泣き続けた。先輩の体温が心地よくて、私はすごく安心した。


「はい、ありがとうございます」


「どういたしまして。……君ばっかりに話させるのもどうかと思うから、少し俺の話するね」


「……はい」


「夏々海さ、俺の家族見てどう思った?正直に答えて?」


「え……。先輩だけ顔が似てないなって思いました」


「……うん、そう思うよね。今から言う話は俺の家族以外、知らない話だから他の人にも言わないでね」


「遊汰先輩もですか?」


「うん、言ってない」


「分かりました」