ただ風のように



「お爺さん、お婆さん、ありがとうございます」


私は本当に嬉しくて涙を目に溜めてお礼をした。


「おいおい、『さん』は止めてくれんかのぉ。可愛げがないから『ちゃん』に変えてくれ」


お爺さんから返ってきた意外な返事に私は笑った。


「アハハッ!!分かりました。お爺ちゃん」


「うむ。お主は笑っておった方が良いな。本当に石の言葉通りじゃ」


「良かったな」


笑顔の私に海頼先輩が言った。


「はい!!」


「爺ちゃん、婆ちゃん。俺達、そろそろ行くね。今日は色々ありがとう」


「礼はまた来てくれればそれで良いぞ。夏々海さん、お主もいつでも来なさい。年寄りに逢いにきてくれ」


「分かりました。お爺ちゃん、お婆ちゃん、今日はありがとうございました。また来ますね」


「いつでも待ってるわ」


私達は2人に頭を下げて玄関を出た。