ただ風のように



「じゃあ、そこに行こう。面白いものはないけどね」


先輩は優しい目をして言った。


「海頼、夏々海さん。朝ごはんの時間だよ」


廊下から岬さんの声が聞こえて時計を見るといつの間にか7時30分を回っていた。


「今、行くから」


海頼先輩はそう答えて立ち上がり、それを見て私も立った。


「あ、いい忘れてたけど俺ん家で猫2匹飼ってるから」


「猫ですか?」


「うん。真っ黒いのとトラ柄の奴ら。名前はロクとトラ」


「私、猫好きなんで嬉しいです」


少しのひねりもない名前に笑いながら返事をした。


「そうなんだ。良かった」


私達はそんな会話をしながら階段を降りてリビングに入った。