温かい部屋で紅茶とガトーショコラの匂いが満ちる。 いつもは斗稀にあげた残りを一人で食べていたガトーショコラ。 今年は二人一緒。 ほろ苦い甘さが口の中で溶ける。 「やっぱ、苦い……」 「そおか? オレはもっと苦くてもいいけど?」 「考えらんない、その味覚」 「甘ったるすぎるのは苦手だな。女子に対しても」 斗稀がチラリとわたしを見た。