バレンタイン大作戦




ドクン。


いつも以上に近づく斗稀の息遣い。


顔。


呼吸。


心……。



慌てて目を反らす。



「自分の言ったことに責任持て」


「そ、そんなの……昔すぎて覚えてない」


「オレは覚えてる」



そう、斗稀が視線を合わせようとするから、また視線を変える。


その度に斗稀と視線が合って……。


何なのよっ!



「覚えてるから6年待ったんだけど?
今年も義理なわけ?」



バレンタインデーに約束。


義理と本命。


5年分の思いと斗稀との距離。



肌で感じるこの距離にも熱に侵されてるみたい。