ね、先生。

 
「・・ん゛っん゛、、。」

喉に詰まらせた言葉を、咳で消した。


里美に続いて席に着き、カバンを開く。


カバンの中から教科書を2~3冊取り出すと、

中から、

先生に借りたままのハンカチが顔を出した。



「・・・あっ・・。」


教室の時計を見ると、まだホームルームが始まるには充分の時間があった。


会うことは何度もあったけど、

返すタイミングを逃していた、ハンカチ。


理由は分からないけど、

時計で時間を確認した時、今だと思った。



そっとハンカチをブレザーのポケットに隠し、


「ん?どこ行くの?」

「うん・・・。
 ちょっとノド渇いたから、食堂にお茶買ってくる。」

「ふーんっ。
 いってら~」


私は一人で教室を出た。