「・・・何してるの?」



私は思わずその女性の声に、

田口先生の後ろの方へと顔を向けた。

声は、

田口先生の後ろからしてくる。




・・・神田先生だった―。




神田先生は


「おはようございます、田口先生。 おはよう、葵。」


挨拶をしながら私の方へと歩んできて、


「ホームルーム始まるんじゃない? 急がないとッ。」


そう言って、この場を立ち去るように私に目で合図し、促した。



「・・・はい。」


カバンをぎゅっと握りしめて、足を再び動かし、田口先生の隣をすれ違い通り過ぎて・・・


・・・一歩。二歩。で、

私は思わず振り返った―。


田口先生から漂ってくる香りに反応して―。