「・・・ね。
 なんでアイツが授業にまで来るわけ?」

「・・・さぁ~?」


私は里美にそっけない返事をする。


「・・・葵?」

「もう・・・関係ない、から。」


私は里美に視線を合わせずに、次の授業の用意をする。


「え・・? 待ってよぉ!!」


里美が動かしていた私の右手を掴んで、顔を覗いた。


「・・・それでいいの?
 ねッ。 本当に、それでいいのっ?!」


下唇を噛みながら、涙を堪えた私に気付いたのか? 里美は、掴んだ手を離した。


「・・・。」




しばらく空を彷徨ってた里美の右手は、次に私の肩へと辿り着き、


「来月・・・さっ。私たち修学旅行じゃん。
 ・・・知ってた?
 引率に渡部先生も居るって。
 田口は、3年の担任だからどー足掻いても無理だし。 ・・・チャンスだよ、葵。」


そう言って微笑んだ。