甘酒を飲み干し、ゴミ箱へ二人のカップを捨てに行ってから、先生の所へと戻る。


「捨ててきたっ!」


そう言った私に、


「・・・寒くない?」


と、返してくる先生。


「・・・え? 今、甘酒・・飲んだ・・よ?」


先生の言葉に戸惑ってると、

先生はニコっと笑って、着ていたロングコートを左右に小さく開いた。



「・・・おいで。」

「えっ、、、?!」


私は一瞬躊躇いながら、答える。


「み、みられるよっ!!」

「大丈夫。
 みんな違う所見てるから・・・」


周りをそっと見てみると、みんな境内に向かって並び、こちらを見ていない。


「・・・ねっ。」


甘い微笑を溢す先生に誘われるまま、私は先生のコートの中へと入り込んだ。


先生の腕の中は、

すっぽりと私が入り篭めるほど広くて、少しタバコの匂いがした・・・。



「・・・あったかい。」


私はそう呟いて、先生の顔を見上げる。


「・・・うん。」


そう呟いて、先生は私を見つめる。


そして、

今度は合図もなく、

私はゆっくりと瞳を閉じて、唇を重ねる。

先生の腕に力が入ったのを背中で感じ、舌で愛を感じる。



私達が

甘い時間を迎えている瞬間(とき)に、

最後の除夜の鐘が鳴り響いた―。