それから、おネエは生徒会を理由に帰るのが遅くなっていった。



・・・がちゃ。

「ただいまー。」

「沙織、遅かったわねー。また生徒会?」

「うん。
 ごめんなさい、お母さん。
 でも、明日も遅くなると思う・・・。」

「もう仕方ないわねー。
 私、今から仕事行くから、そこのテーブルの上のチンして食べてね。」

「うん。」


ウチの家は母子家庭。
私がまだ幼い頃にお父さんとお母さんは離婚した。
お父さんからは養育費、慰謝料も毎月支払われてたけど、お母さんは「私の勝手であなた達に迷惑はかけたくないから」と、昼間フルで働いて、夜も週3だけ働いていた。
そのおかげで私達は不自由せずに暮らせてた。



・・・バタン。


お母さんが出て行ったドアが閉まって、


「遅かったねー。」


私はおネエに声を掛けた。


「う、ん。」


返事を返すおネエの顔が少し緩んだように見えた。


「里美。コレ、食べていいよ。」

「・・え?おネエ晩御飯は?!」

「うーん、、。
 ケーキ食べてきたから。」

「へぇ?・・・生徒会じゃ、、」

「くすっ。
 ・・・あのね、彼氏できたんだ。 明日の生徒会はホントだけど、今日は喫茶店でお茶してきたの。」

「えー///
 彼氏ってどんな人っ?!」

「・・・それが、、」



私が中2の12月。

この日が、

おネエの口から、初めて渡部先生の名前を聞かされた時だった。