過去の秘箱



とうとう終業式の日がやってきた。


その日の朝も…彼は駅で待っていてくれた。


最後の二人乗り…風邪は良くなってきていたので、彼を包む風の匂いが鼻にすぅ~っと心地好く入ってきて……たまらなく気持ち良かった。


その日は部活がないらしく、帰りも駅まで送って行くよと言ってくれた。


学校とお別れだ……先生に挨拶して…クラスの皆にも…美雪も…やっと私を見て話してくれた。


「沙織…頑張ってよ、また連絡するから、元気でね……」


「美雪…ありがとうとごめん……」


無理もないよね、美雪の気持ちは痛いほどわかる、だってあんなに中谷君の事、好きだったもんね……ごめん美雪…でも、私も好きだったんだ……。