過去の秘箱



それから風邪は一向に治る事なく、鼻はズルズル、咳はコンコン、せっかく恋が動き始めたと言うのに……体調は最悪だった。


でも後少しで転校……死んでも学校は休めない。


次の日も、その次の日も、朝日をバックに彼は白馬と共に立っていた。


白馬に二人乗り……風をきって走る。


彼と風の匂い…しっかり感じとる事が出来なかった鼻づまりが、凄く悔しかった。


SAORIと型どった携帯ストラップ……私はまだ携帯を持っていなかったので、スクールバッグにつけた。


SAORIという文字が太陽の恵みを浴びて、キラキラ輝いていた眩しいくらいに……。