沙織は毎朝、父と自分の弁当を作っていた。
が……血を流した次の日は、同じ時間には起きなかった、弁当も作らなかった…目は開いたままベッドの中でじっとしていた。
襖の閉まった隣の居間では、父が起き出し、寝過ごしたのか、慌てて服を着替え仕事に行った。
ドアの閉まる音、鍵のかけられる音を確認してから、沙織はゆっくりと起き上がった。
制服に着替え、家を出る。
下半身が痛む……がに股のような歩き方になりながら、それでも一歩一歩、学校に向かった。
気持ちは…何故かわからないが冷静だった。
昨日の悪夢は誰にも言えない。
言いたくても、言っては駄目なような気がした。



