子供らしく無邪気な寝顔のまま……沙織は地獄のゲートを今くぐろうとしていた。 沙織は夢を見た~ それは遠い遠い昔の思い出……。 いつか、家族四人で初詣に行った時の再現だった。 神社の中を、親子四人で仲良く歩いている。 沙織と詩織はまだ幼児だった。 その時、振り袖着た女の子達とすれ違う。 カラフルな着物、赤に青に黄色、紫に黄緑に金銀……長い袖をヒラヒラさせて歩いていた。 肩には、ふわふわ綿菓子みたいなショールを乗せて……。 沙織と詩織は、色彩華やかな蝶々達に目を奪われてしまった。