それ以降……週に1、2回のペースで、正男は沙織の部屋に訪れるようになった。


マー君と会う日は、残業だと父に嘘をつき、仕事帰りにラブホテルに直行した。


こうして、錦鯉沙織は、交互に二人の男を受け入れる生活が始まった。


死ぬほど好きな男と、死ぬほど嫌いな男。


蜜が溢れ出す時間と、蜜が渇ききる時間。


  満ち潮と引き潮。


男は二人とも、自分だけが沙織を所有していると思っていた。


女の嘘は…年齢に関係なく、男よりも遥かに上を行く。


暗闇をさ迷う沙織……先は見えなかった、この結末がどうなるのか……考えるのも嫌だった、ただ…ただ…マー君と愛し合えば幸せだったし、その為だったら何だってする、どんな事でも我慢する……マー君への愛だけが、今の沙織を支えていた。