母親が消えてから一週間後に、沙織は初潮を迎えた。


正男や親戚、知り合いが、典子捜しに右往左往している時の事だった。


そんなどさくさの中で、沙織は言えなかった、誰にも……。


沙織の親友であった美雪は、小6の終わりに初潮がきた。


家では赤飯が炊かれ、家族が祝ってくれたよ……とその時、美雪が嬉し恥ずかしそうに話していた。


そうなんだ……嬉しい事なんだ、喜んで貰える事なのね……大人のスタートラインに立つって訳ね……。


私も、もうすぐなのかな……一番にお母さんに伝えなきゃ……。


美雪の初潮にドキドキワクワクした日、自分も同じように、家族が祝ってくれるものだと信じていた。


そう信じていた……。