詩織が?詩織がどうしたの? 私は、思わずドアを開けた。 地獄の扉……開けてはいけなかった、何があろうとも……。 「仕事から帰ったらよ、シンナー吸っていやがって…それも何人も束になって、裸になってる奴もいるし、頭にきてよ、暴れてやったら出て行ったんだよ……昨日から帰ってないんだ」 いきなりまくしたてた父の言葉は、あまり呂律が回っていなかった。 赤い顔して、かなり酒に酔っている。 その時、父が目をむいた。 私の後ろにいるマー君を見つけた瞬間だった。 「誰だ、お前?」