あの子のために雪は降る

駐在は俺の言葉を聞いて目を丸くした。


「珍しい事言うじゃないか、何が聞きたいんだ?」


「捜索願い…何か出てないか?」


「捜索願いだと?…ちょっと待ってろ。」


そう言って駐在は何かの簿冊をめくり始めた。


「いや…今日は聞いてないな。申し送りの簿冊にも特に書いてない。
捜索願いって、物か?人か?」


「いや、何でもねえ。ありがとよ。」


俺はそれだけ聞くと交番を後にした。
用も無いのにあんな所には居たくないからな。

背中に呼び止めようとする駐在の声が聞こえたが、当然俺はシカトした。

すずめを交番に預けるのは構わんが、アレコレ俺が調書を取られるのはたまったもんじゃない。

どうせ捜索願いが出てないのなら、家にいようが交番に居ようが変わらないような気がした。

それが誘拐になるとか細かい事は気にしない。
すずめが居たいなら居ればいい。不良の俺には保身なんて思いつかなかっただけだ。

ただ親御さんの心境を考えると、早めに帰してやらなきゃいけねえって事は思ってた…。