あの子のために雪は降る

その様子を見たすずめは、今にも泣きそうな寂しげな目で俺を見上げていた。


「別にどこにもいきゃしねーよ。お前も腹減っただろ?食い物買ってくるからここで待ってろ。
いいな?すぐ帰るからいい子にしてろよ?」


俺がかがみ込んで頭を撫でると、すずめは黙って頷いた。


そして家を出た俺は、いつも行くコンビニではなく、最寄りの交番へと向かった。

何故かって?んなもん一つしかねーだろ!
捜索願いの一つくらい出てないか調べるためだよ。

あんな小さなガキが1人で遠くまで行けるはずがない。
格好から見ても、ついさっき出てきたって感じでもない。それなら普通捜索願いの一つくらい出すだろ?

俺は単純にそう考えて胸くそ悪い交番に顔を出した。


「あのよー、ちっと聞きたい事あんだけど。」


「あ?お前、田崎じゃないか!今度は何の悪さだ!?」


チッ、だから来たくなかったんだ。
毎度毎度喧嘩の度に止めに来る駐在のオッサン。
コイツとは反りが合わねえ。


「悪さじゃねぇよ!質問しに来ただけだ!」


俺はイライラしながら駐在に叫び返した。