あの子のために雪は降る

「それですずめはどっから来たんだ?」


俺はすっかり日が暮れた外を見ながら心配になった。
こんなガキがいつまでも帰らないなんて普通の親なら心配するからだ。

だが、すずめは首を横に振っただけで答えなかった。


「何だぁ?お前迷子になったのかよ?早く帰らなきゃママが心配するぜ?
それ飲んだら交番連れてってやるからよ。」


俺はそう言って自分のココアに口を付けた。


「やだ…。」


すずめはそう言ってテーブルの下に隠れてしまった。

下を覗くと体育座りでスネてるすずめが見えた。


「お前なぁ、やだって言っても仕方ねーだろ?ママだって寂しくて泣いてるかもしれねーぞ?」


「泣いてない…ママもパパも居ない…お家もない…。」


すずめはぬいぐるみに顔を埋めて黙り込んだ。

俺はどうしたらいいもんか思いつかずに肩を落とした。


「ったく、これだからガキは苦手なんだ…。」


俺はそう呟くと、上着を羽織って立ち上がった。