「そっか、なら上等だ。」


俺はガキと何を話したらいいか解らないまま黙り込んだ。

コイツもコイツで何も喋らない。
あれだけビービー泣いてるくらいだから話が出来ないわけじゃないだろう。

とりあえずいつまでも呼び名が決まらないのは収まりが悪い。
俺はガキに名前を尋ねる事にした。


「よう、お前の名前…何て言うんだ?」


そう問いかけられたガキは一瞬戸惑ったように目を泳がせて、小さく呟いた。


「…すずめ…。」


「あん?何だって?すずね?」


「朝宮すずめ!」


ガキ…いや、すずめはこの時初めて俺と会話をしたんだ。

今まで名乗った事も無いのか、少しだけ恥ずかしそうに顔を赤らめた。


「すずめね…良い名前じゃねーか。」


俺はチビのコイツにはお似合いだと感じて笑った。