ガキは俺の上着の裾をギュッと握りしめてヒョコヒョコ歩き始めた。


…歩きにくい…。


俺はその小さな手と、白くなるまでギュッと握った裾を見つめてしゃがみこんだ。


「…足、痛いんだろ?おぶってやるから背中に乗れよ。」


そう言って背中をあけると、ガキは嬉しそうに笑って背中にしがみついてきた。

真冬の空気に冷えた背中が、ガキの体温でぬくもるのを感じた俺は、不思議と心が落ち着くのを感じた。


「ケッ、俺らしくもねえ!」


そんな事を認めたくなかった俺は、悪態をついて立ち上がると、自分の家へと向かった。

そして歩いているうちに、背中へ回した手の感覚が思った以上にガキが薄着である事を伝えていた。


(何だコイツ?こんな薄着で寒くねーのかよ?)


そう考えていると、背中が微かに震えているのを感じた。
やはり寒くないわけ無いようだ。


全く変なガキを拾っちまったと運命に嘆きながらも、俺はしばらくして家に辿り着いた。